相分離(読み)そうぶんり(英語表記)phase separation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

相分離
そうぶんり
phase separation

2種以上の物質A,Bを混合するとき,ある温度で混合しやすいかどうかは,混合する前後のエネルギー差 (混合エネルギー) と混合エントロピーとのかねあいで決る。混合エネルギーが正の場合には,エネルギー的には各成分に分離しているほうが有利であり,エントロピー的には混合を促進させるという反する効果の競争となる。各成分に分離する現象を相分離という。その逆は混合溶液合金をつくることになる。2成分溶液に例をとると溶解度曲線はだいたい図の実線のようになり,その上側では任意の割合で混合しうるが,曲線の内部では相分離を起し,均質に混り合わない。さらにその内側の点線はスピノダル線と呼ばれ,容易に相分離を起すのはこのスピノダル線より内側である。この領域での相分離を特にスピノダル分解という。溶解度曲線とスピノダル線の間の領域は,分離しようとするが,かといって分離の方向にもなかなか進まない不安定な状態である。このような多成分系の相分離と同じく,純粋物質の異なる相の間の相分離も考えられる。

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化学辞典 第2版の解説

相分離
ソウブンリ
phase separation

一般に,均一な相が熱力学的な平衡条件(温度,圧力,濃度など)に従って二つ以上の相に分離することを相分離という.【】2種類以上の成分からなる溶液が,適当な温度,圧力,濃度の範囲で,それぞれ濃度の違った二つ以上の相に分離することをいう.互いに相溶性が悪い場合には相分離を起こすのが普通である.たとえば,2種類の溶媒を任意の組成比で混合し,その溶液の温度を低下させると,ある温度(この温度を共溶点,もしくは共溶温度という)でそれぞれの成分の組成比が異なる二つの液相に分離する.逆に温度を上げたときに相分離が起こる場合もある.これらの現象を応用したものとしては,抽出分子量分布分別などがある.[別用語参照]相互溶解度】固体物質を溶媒に溶かした溶液をある条件下におくと固体が沈殿したり,結晶化する現象がある.この現象も相分離ということがある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典内の相分離の言及

【相】より

…また物質系が,ただ一つの相からなる場合は均一系または単相系といい,二つ以上の相を含むときは,不均一系または多相系という。均一系が温度を下げたりすることによって二つまたはそれ以上の相に分かれて不均一になることを相分離,分離した相がそのまま安定に存在することを相平衡という。気相,固相などの呼び方のほかにも磁性体で外部磁場がないにもかかわらず磁化をもつ場合の相を強磁性相,また低温で電気抵抗が0になる相を超伝導相と呼んだりし,このほか液晶もその構成分子の配列の仕方によってコレステリック相,ネマティック相,スメクティック相などに区分される。…

※「相分離」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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