分子内回転(読み)ブンシナイカイテン

化学辞典 第2版 「分子内回転」の解説

分子内回転
ブンシナイカイテン
intramolecular rotation

内部回転ともいう.多原子分子におけるある一重結合を軸とする両端原子団の相対的な回転をいう.たとえば,エタン分子ではC-C結合を軸として二つのメチル基が互いに回転することができる.いま,一方のメチル基中の一つのC-H結合軸とC-C結合軸とでつくられる平面と,もう一方のメチル基における同様の平面とのなす角をθとすると,θとポテンシャルエネルギーとの関係はほぼ図のようになる.

すなわち,分子が低い振動準位にあるときはメチル基はねじれ振動をするだけであるが,振動エネルギーポテンシャル障壁を越せば,回転運動がはじまることがわかる.いいかえれば,分子内回転は単振動と自由回転との中間の状態に相当する.それゆえ,束縛回転ともいわれる.また,ポテンシャル障壁の存在は,一般には回転異性体を生む原因となり,その高さはおもにマイクロ波分光法によって詳しく調べられている.[別用語参照]回転異性

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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