切米取(読み)きりまいとり

精選版 日本国語大辞典 「切米取」の意味・読み・例文・類語

きりまい‐とり【切米取】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 切米から ) 幕府あるいは大名家臣のうち、知行所を与えられず、扶持米を支給される家臣。蔵米(くらまい)取り。
    1. [初出の実例]「Qirimaitori(キリマイトリ)」(出典日葡辞書(1603‐04))
    2. 「私は〈略〉御存知の通り切米取(キリマイトリ)の纔(わづか)奉公人」(出典:浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)二)
  3. ( 転じて ) 給料取り。雇人。奉公人。
    1. [初出の実例]「きりまいとりの奉公人・町の手代のなぐさみものによひかげんなる事ぞかし」(出典:浮世草子・新吉原常々草(1689)上)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の切米取の言及

【知行】より

…下級の知行取の場合は,家臣の駐在もなく年貢収納を知行地の名主にまかせる場合もあった。これに対し蔵米知行の旗本は,蔵米取(切米取)とも呼ばれ,幕府蔵より年に春,夏,冬の3回,俸禄を米または張紙値段によって換算した金で支給されるだけで(俸禄制),知行地を支給されることもなかった。 1867年(慶応3)大政奉還によって幕府が倒れた後も大名領は朝廷の下に維持されていたが,明治政府は69年(明治2)版籍奉還を行うとともに武士階級を華・士・卒族に編成替えし,71年廃藩置県によって大名とその家臣団の土地領有権を否定した。…

【旗本】より

…旗本の出自は三河以来の旧臣・近国衆に属する者を中心に,大名の絶家・分知で一族家臣の登用された者,名家の子孫,学問技芸によって登用された者などとなっている。寛政期の旗本の知行(ちぎよう)形態は知行取の人数2264人(43%),知行高262万7540石(80%)(図1),蔵米取の人数2941人であり,蔵米高の内訳は切米取62万1525俵(2836人分)が大部分を占め(図2),現米取と扶持取は少である。 旗本の幕府勤仕は有職を原則としたが無役の者も少なくない。…

※「切米取」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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