加吉駅(読み)かきつのえき

日本歴史地名大系 「加吉駅」の解説

加吉駅
かきつのえき

古代東海道の岐路のいわゆる甲斐路に置かれた駅。「延喜式」兵部省に「甲斐国駅馬水市・河口・加吉各五疋」とあって、駿河国横走よこばしり(現静岡県御殿場市)から分岐し、甲斐の国府に至るまでの駅路に三駅が置かれていた。このうちの加吉駅については、「吾妻鏡」承久三年(一二二一)七月一二日条にかご坂が「加古坂」と記されることから、「加吉」は「加古」の誤写加古かこ駅が正しいとし、横走駅より籠坂かごさか峠を越え甲斐国に入っての最初の駅として、山中湖南西岸の現山中付近に比定する説が有力である。なおこの説が成立する前提に、駅名の表記順(基本的には都に近いほうから記載されるが例外として国府からの順とする)や、「延喜式」の原文からの誤写(「吉」が果して誤りで「古」が正しかったのか)などの問題点があり、推定地は同じだが駅名は「加吉」が本来でのちに「加古」に転訛したとする説、誤写はなく加吉駅へは籠坂峠越でなく東寄りのヅナ峠越で山中湖東岸の現平野ひらの付近に駅家を考える説、山中湖畔に置かれたのは水市みずいち駅で、加吉駅は最も国府寄りの現御坂みさか上黒駒かみくろこま付近とする説など異論も多い。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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