甲斐(読み)カイ

デジタル大辞泉 「甲斐」の意味・読み・例文・類語

かい〔かひ〕【×斐/詮/効】

行動の結果として現れるしるし。努力した効果。「我慢した―があった」
期待できるだけの値うち。「生きている―がない」→がい(甲斐)
[類語]効果き目しるし成果こう実効効験効能効力効用霊験作用

かい〔かひ〕【甲斐】

旧国名の一。現在の山梨県にあたる。甲州。
山梨県中西部、釜無かまなし東岸にある市。武田信玄が築いた信玄堤の遺構がある。江戸時代には綿花栽培が盛んで、現在はぶどうなど果樹栽培のほか、電子産業も発達。平成16年(2004)竜王町敷島しきしま町、双葉ふたば町が合併して成立。人口7.4万(2010)。

がい〔がひ〕【×斐】

[語素]《名詞「かい(甲斐)」から》
動詞の連用形や動作性の名詞などに付いて、その行為をした効果・効験の意を表す。「生き甲斐」「働き甲斐
主として人間関係を表す名詞に付いて、その人間関係の効果を発揮する意を表す。…としてのよしみ。「友達甲斐
打消しや希望の助動詞などに付いて、動作や状態の程度を表す。
「理窟につまって、あげくには死なず―な目にあうて、一分いちぶんはすたった」〈浄・曽根崎

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精選版 日本国語大辞典 「甲斐」の意味・読み・例文・類語

かい かひ【甲斐】

[一] 東海道の一国。東は武蔵相模、南、西は駿河、北は信濃に囲まれた山国。平安末期に源義光が甲斐守となり、その孫信義が武田氏を称し、守護を世襲した。江戸時代は、幕府直轄領か親藩・譜代の大名が封ぜられ、廃藩置県後、甲府県を経て山梨県となる。甲州。
[二] 山梨県中部の地名。甲府市の西に隣接し、宅地化が進む。南部の釜無(かまなし)川には信玄堤がある。平成一六年(二〇〇四市制

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改訂新版 世界大百科事典 「甲斐」の意味・わかりやすい解説

甲斐[市] (かい)

山梨県中央部の市。2004年9月敷島(しきしま),双葉(ふたば),竜王(りゆうおう)の3町が合体して成立した。人口7万3807(2010)。

甲斐市北東部の旧町。旧中巨摩(なかこま)郡所属。人口1万8546(2000)。甲府盆地北西端に位置し,JR中央本線が通じる。平安時代は志麻荘に属した。中心の島上条は北山筋の旧宿場町で大正中期まで米や薪炭の集散地としてにぎわった。北部の山地では養蚕と林業を主体に農林業が営まれてきたが,近年はブドウスモモなどの果樹や茶の栽培が盛ん。南部の沖積地はおもに水田に利用されてきたが,近年甲府市近郊の住宅地として都市化が進み,在来の製糸業のほか,製造業を中心に工場が進出している。東部には昇仙峡(御岳昇仙峡,特名)があり,観光客を集めている。吉沢の常説寺の〈白輿(しらこし)〉は鎌倉時代の輿の遺物で,重要文化財に指定されている。

甲斐市西部の旧町,旧北巨摩郡所属。人口1万2601(2000)。甲府盆地北西端の釜無(かまなし)川北岸に位置する。茅ヶ岳(1704m)南麓の登美丘陵には果樹園,釜無川沿岸の平地には水田が広がる。農業が主体の町で,かつては養蚕が盛んであったが,近年はブドウなどの果樹や野菜の栽培に転換している。甲府市と韮崎市の中間に位置し,JR中央本線,国道20号線が通じているため,住宅地として発展している。北部山麓にあるサントリー山梨ワイナリー(現,サントリー登美の丘ワイナリー)ではブドウ栽培からワイン醸造までの一貫作業が行われ,観光拠点にもなっている。岩森にある光照寺薬師堂は重要文化財に指定されている。

甲斐市南部の旧町。旧中巨摩郡所属。人口4万0559(2000)。甲府盆地北西部,釜無川東岸に位置し,東は甲府市に接する。釜無川がしばしばはんらんした地で,武田信玄が築いたという信玄堤が残る。肥沃な沖積地で米作と養蚕を中心とした農業が行われてきたが,近年,モモ,ブドウなどの果樹や野菜栽培に転換した。甲府市に近いため住宅,店舗,工場が増加している。JR中央本線,国道20号線,中央自動車道が通じる。江戸中期の尊王論者山県大弐の出身地として知られる。
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