化学辞典 第2版 「加硫分解」の解説
加硫分解
カリュウブンカイ
thiohydrolysis
ソルボリシスの一種.硫化水素H2SはH2O,NH3などと同じく,液体(凝固点-82.9 ℃,沸点-61 ℃)はいくぶん電離している.
2H2S H3S+ + HS-
したがって,硫黄に対して高い配位能をもつ中心原子のある化合物は,液体硫化水素中では加水分解と同形式の反応をする.これを加硫分解,またはチオ加水分解という.たとえば,
PCl5 + H2S → PCl3S + 2HCl
Hg2Cl2 + 2H2S → Hg2(HS)2 + 2HCl
などの反応が起こる.また,気体中で起こる
2PCl3 + 3H2S → P2S3 + 6HCl
HgCl2 + H2S → HgS + 2HCl
なども加硫分解の一種と見なしうる.有機化合物でも,
CH3COSCH3 + H2S → CH3COSH + CH3SH
のような加硫分解反応が起こる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報