硫化鉄(読み)リュウカテツ

デジタル大辞泉の解説

りゅうか‐てつ〔リウクワ‐〕【硫化鉄】

鉄の硫化物。
硫化鉄(Ⅱ)。灰黒色または淡褐色の結晶。希酸に溶けて硫化水素を発生する。天然には磁硫鉄鉱として産する。化学式FeS
硫化鉄(Ⅲ)。黒色の粉末。天然には銅との複塩をなす黄銅鉱として産する。化学式Fe2S3
二硫化鉄。黄金色の結晶。天然には黄鉄鉱として産する。化学式FeS2

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディアの解説

硫化鉄【りゅうかてつ】

(1)硫化鉄(II)FeS 比重4.5〜5.0,融点1193℃。灰黒色板状固体。純粋のものは淡黄褐色の結晶。水に難溶。酸には硫化水素を放って溶ける。天然には磁硫鉄鉱として産。隕鉄(いんてつ)中にトロイライトとしても存在。工業的には硫黄鉄粉とをるつぼ中で融解してつくり,硫化水素発生に用いる。(2)硫化鉄(III)Fe2S3 比重4.3。黒色の粉末。水に不溶,塩酸に可溶。湿った空気中で硫黄を遊離して分解。天然には硫化銅(I)と結合して黄銅鉱,斑銅鉱などとして産。(3)二硫化鉄FeS2 比重5.00(等軸晶系),4.88(斜方晶系),融点642℃。黄金色の輝く結晶。空気中で安定,水に不溶,硝酸に可溶。鉄および硫酸の原料。天然には黄鉄鉱および白鉄鉱として産。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

りゅうかてつ【硫化鉄 iron sulfide】

鉄と硫黄の化合物の総称。
[硫化鉄(II)]
 化学式FeS。天然に磁硫鉄鉱およびトロイライト(隕石鉱物)として産する。Fe(II)塩溶液に硫化アンモニウム(NH4)2Sを加えるか,Fe2O3を約1000℃に加熱し硫化水素H2Sと過剰の水素の混合気体を通すと得られる。純粋なものは鉄と硫黄とを真空にした封管中で長時間高温に加熱して得られる。硫化水素発生用に使われる市販品は鉄と硫黄とをるつぼ中で溶融してつくる。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

りゅうかてつ【硫化鉄】

鉄粉と硫黄を加熱して得られる灰色ないし褐色の結晶。化学式 FeS 水に不溶だが、酸に溶けて硫化水素を発生する。このほか、天然に黄鉄鉱として産出する二硫化鉄 FeS2 などがある。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

硫化鉄
りゅうかてつ
iron sulfide

鉄と硫黄(いおう)の化合物の総称。次のものが知られている。
(1)硫化鉄() 硫化水素の鉄()塩に相当する。硫化第一鉄ともいう。天然には磁硫鉄鉱として産出するほか、隕石(いんせき)中にトロイライトとして含まれる。いずれもFeの割合がやや少ないベルトライド化合物である。鉄()塩の水溶液に中性で硫化水素を通じるか、硫化アンモニウムや硫化アルカリを加えると、黒緑色の沈殿として生成する。工業的には鉄粉と硫黄をるつぼ中で融解して製造する。純粋なものは、還元鉄と蒸留硫黄を封管中、真空下で1000℃に熱すると得られる。無色または淡褐色の結晶。市販品は灰黒色のかたまり。湿った状態では空気中で容易に酸化され、硫黄を析出する。水に難溶。無機酸には溶けて硫化水素を発生するので、硫化水素発生源に用いられる。
(2)硫化鉄() 硫化水素の鉄()塩に相当する。硫化第二鉄ともいう。鉄()塩水溶液に十分量の硫化アンモニウムを加えると沈殿として得られる。黄緑色の固体。湿った空気中で容易に酸化され、酸化水酸化鉄()と硫黄に分解する。水に不溶。酸に溶けて硫化水素を発生する。
(3)二硫化鉄 鉄()の硫化物で二硫化物イオンS22-を含むことがわかっている。天然に黄鉄鉱(等軸晶系)、白鉄鉱(斜方晶系)として産出する。硫酸鉄()とポリ硫化アルカリを封管中で165~180℃に加熱すると得られる。真鍮(しんちゅう)に似た光沢をもつ黄色の結晶。水に不溶であるが硝酸および硫酸には溶ける。鉄および硫酸の原料となる。[鳥居泰男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

硫化鉄の関連情報