朝日日本歴史人物事典 「加藤有慶」の解説
加藤有慶
生年:宝永3(1706)
江戸中期の柔術家。通称忠蔵,長政と名乗る。丹波国(京都府,兵庫県)の出身。滝野遊軒に起倒流を学び,遊軒のあとを追って江戸へ出,下谷和泉橋に居を構える。同門に老中松平定信の柔術の師鈴木清兵衛がいるが,有慶の実力はさらに高く,同流歴代の師範のなかで最も傑出していたとされ,諸侯や旗本の門人も多かった。晩年になっても,酒宴の最中に隙をみてかかってきた力士を,盃の酒を一滴もこぼさず投げてみせたという。
(甲野善紀)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報