改訂新版 世界大百科事典 「シュリューター」の意味・わかりやすい解説
シュリューター
Otto Schlüter
生没年:1872-1959
ドイツ,ルール地方生れの地理学者。20世紀初頭の地理学本質論を主導した。ハレ大学在学中から集落研究に専念し,ベルリンでF.vonリヒトホーフェンの指導のもとに《北東チューリンゲンの集落》(1903)を完成する。先史時代以来の集落諸形態の成立と変遷について,地形,植生,地名,地籍図,文献を駆使した実証研究を進め,集落地理学の方法論を確立した。その後ハレ大学教授として,ひろく中欧の景観変遷の研究に着手し,《初期歴史時代における中欧の集落領域》(1952)や《エルベ中流域地図帳》(1958)などを発表する。若くしてF.ラッツェルやA.ヘットナーの環境論的見方を批判し,《人文地理学の目的》(1906)などで〈文化景観の形態学〉としての地理学を提唱し,《人間集団の領域研究》(1919)を著してその体系の周辺に位置づけた。20世紀前半の地理学の歩みは,彼の景観論とヘットナーの地誌学との批判的総合であった。
執筆者:水津 一朗
シュリューター
Andreas Schlüter
生没年:1660ころ-1714
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報