労働の人間化(読み)ろうどうのにんげんか(英語表記)humanization of work

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「労働の人間化」の意味・わかりやすい解説

労働の人間化
ろうどうのにんげんか
humanization of work

労働をより人間的なものにするための方策総称。 1970年代に ILO (国際労働機関) が積極的に推進した。広義には,物理的作業条件の改善,賃金水準および制度の改善,労働保護,苦情処理制度,経営参加制度などを含む。狭義には,単調で無内容な労働を廃止し,職務内容を充実させる新しい作業組織の形成と,そこにおける新しい仕事の仕方を示す。その中心は,労働者の自由裁量や選択の幅を拡大し,チームによる作業を導入した半自律的作業集団の形成である。日本の課や係単位の作業様式はこれと類似しており世界から注目されている。

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世界大百科事典(旧版)内の労働の人間化の言及

【労働の質】より

…労働者の稼得する賃金所得の多寡を究極的関心事とする伝統的労働問題観に対して,おもに仕事のやりがいや働きやすい作業組織のあり方など労働者の職場生活の質的側面を重視する労働問題観,あるいはそれに基づく施策をいう。ヨーロッパでは〈労働の人間化humanization of work〉という用語が主に使われる。 20世紀の産業社会を特徴づける大量生産体制は,その効率性により〈豊かな社会〉実現の原動力となったが,他方では労働の単調化・無意味化,生産組織における権威主義と抑圧性を強める傾向をもち,いわゆる労働疎外を生み出すとの批判をも招いた。…

※「労働の人間化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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