日本大百科全書(ニッポニカ) 「労働者条例」の意味・わかりやすい解説
労働者条例
ろうどうしゃじょうれい
Statutes of Labourers
1351年の労働者条例をはじめとして、イギリスで1563年までに制定された一連の労働立法の総称。イギリス最初の労働者規制法である労働者勅令は、ペスト流行後の労働力不足と賃金上昇に対処するため1349年に発布されたが、それを補足し立法化したのが1351年法であり、農業労働者の最高賃金と強制就労を定めた。だが、農業労働者の抵抗や都市への逃亡などによって、労働力不足が続いたため実効を伴わず、ワット・タイラーの農民一揆(いっき)(1381)の一因ともなった。この条例の諸規定を修正する条例が相次いで制定されたが、それらは1563年の徒弟条例によって廃止された。
[富沢賢治]
『岡田与好著『イギリス初期労働立法の歴史的展開』(1970・御茶の水書房)』
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