日本大百科全書(ニッポニカ) 「徒弟条例」の意味・わかりやすい解説
徒弟条例
とていじょうれい
Statute of Apprentices
1563年に制定されたイギリスの労働立法。「職人、日雇、農事奉公人および徒弟に対する諸命令に関する法律」の略称で、職人条例ともよばれる。1351年の労働者条例以降の労働諸立法を集大成しつつ、新たな労働立法として制定された。最高賃金を法で定める原則は維持されたが、旧来の全国画一的な法定最高賃金制にかわって、各州の治安判事による裁定賃金制が採用された。また、旧来特権都市で行われていた7年間の徒弟制を全国的に強制施行させるとともに、徒弟制の諸要件を立法化した。資本主義初期のマニュファクチュア時代の基本的労働立法となったが、産業革命を経て、1813年に賃金条項が、14年に徒弟条項が廃止された。
[富沢賢治]
『岡田与好著『イギリス初期労働立法の歴史的展開』(1970・御茶の水書房)』