精選版 日本国語大辞典 「千乗万乗」の意味・読み・例文・類語
せんじょう‐まんじょう【千乗万乗・千町ヂャウ万町ヂャウ】
- 〘 名詞 〙 物事の多大であること。富や恵みなどの大きいこと。江戸時代では、新年にくる乞食の鳥追いの歌の中の文句として用いられた。せんじょやまんじょ。
- [初出の実例]「時に父喜びて千乗(ゼウ)万乗仰ひで都城を覓て」(出典:私聚百因縁集(1257)二)
- 「千町(せんヂャウ)万町(マンヂャウ)の鳥追〈関白殿移徙の記〉」(出典:譬喩尽(1786)八)
千乗万乗の補助注記
( 1 )長唄「節小袖」には「千町(センヂョ)や万町(マンヂョ)」の例もみられるが、本来は「天子万乗諸侯千乗」(中国周代の制で天子は兵車一万台、諸侯は一千台をその直轄地から出すこと)によった語か。
( 2 )「鳥追阿松海上新話〈久保田彦作〉」の仮名垣魯文の序には「千町万町(センチャウマンチャウ)の衆目に触れ喝采の声価を得たる操觚者」と清音の読みを示している。