仮名との連関においてとらえられた日本語の発音に関する伝統的な術語。濁音(および半濁音)と対(つい)をなす。ある仮名の発音が清音であることをいいあらわす場合には,〈すむ〉というのが古来の習慣である。清音という用語の歴史は,中国にさかのぼるが,中国にいう清音と日本語でいう清音とは,おのずからその内容を異にする。広義においては,いろは四十七文字は,いずれも清音の仮名と解されている。しかし,ふつうには,濁音(および半濁音)の音節と対立する音節を清音とよんでいる。これを実際の例でいうならば,かきくけこ・さしすせそ・たちつてと・はひふへほの20が清音をあらわす仮名(すなわち,清音の仮名)である。清音は,いずれも,無声子音ではじまる音節であるのがその特徴で,その点で,かきくけこ以下の20の音節のみをとくに清音とみなすほうが,単に実用的であるのみならず,音韻論の立場から見ても意味が深い。
→濁音
執筆者:亀井 孝
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岡山県南西部、都窪郡(つくぼぐん)にあった旧村名(清音村(そん))。現在は総社市(そうじゃし)の南東部を占める地域。旧清音村は2005年(平成17)総社市と合併した。高梁(たかはし)川の下流左岸にある。旧村名は1889年(明治22)の村制施行の際に「山水有清音」という語から名づけたという。『和名抄(わみょうしょう)』の窪屋郡軽部(かるべ)郷の地。東部の総社市西郡(にしごおり)との境にある福山は、南北朝時代に足利(あしかが)、新田(にった)両軍の福山城合戦のあった地。園芸農業が盛んな農村であるが、高梁川沿いにJR伯備(はくび)線、井原(いばら)鉄道が通り、岡山、倉敷の各市にも近く、都市化傾向が著しい。
[由比浜省吾]
『『清音村誌』(1979・清音村)』
清音・濁音ということばは、本来は中国音韻学の分類で、音声学の用語ではない。日本語の清音とは、濁点や半濁点をつけない仮名文字で表す音節(拍)で、清音に発音することを「すむ」といい、濁音・半濁音に対立する。広義では、「あかさたなはまやらわ」各行の拍とその拗音(ようおん)をさすが、一般には、無声子音を頭子音とするカサタハ行とその拗音の拍をいうことが多い。狭義の清音の頭子音と、調音の位置や方法が同じ(またはかつて同じだったとされる)有声子音の拍は、同じ仮名に濁点を打つことで清濁の対応としてとらえている〔現在、カ(蚊)とガ(蛾)は〔k〕と〔g〕の、ハタ(旗)とハダ(肌)は〔t〕と〔d〕の対立だが、ハナ(花)の〔h〕とクサバナ(草花)の〔b〕では調音の位置も方法も異なる〕。
[秋永一枝]
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…これは朝鮮漢字音の成立期には有気・無気の弁別がまだなかったためかと考えられている。 一方,無声(全・次清),有声(全濁)の別は,日本呉音では清濁の別に反映されるが,日本漢音は両方とも清音で区別しない。布(フ)と捕(ブ)(漢音は共にフ),帯(タイ)と大(ダイ)(タイ),君(クン)と群(グン)(クン)等である。…
※「清音」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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