千枚皮(読み)せんまいがわ(英語表記)Allerleirauh

日本大百科全書(ニッポニカ) 「千枚皮」の意味・わかりやすい解説

千枚皮
せんまいがわ
Allerleirauh

グリム童話集』(第65番)の話。黄金色の髪をした美しい妃(きさき)に死なれた王は、その遺言により、同じ姿をした後妻を捜すが、みつけたのは実の娘である。娘は困惑し、太陽の光を放つ服、月の光を放つ服、星の光を放つ服と、千種類の動物の毛皮でつくったマントを要求する。父王がこの難題を実現してしまったので、王女は千枚皮を着、三つの服をクルミの殻に入れて逃げる。ある王の城で台所の灰かきとして働く。祝宴のとき、太陽、月、星の服を順に着て王と踊り、そのつど身元を明かさず戻るが、スープの中へ、黄金の指輪、小さい黄金の糸繰り車、黄金の糸巻を入れたので、ついに王に発見され、妃になる。この主人公は継子(ままこ)ではないが、話の構成は『シンデレラ』ときわめて近い。カッセルの薬屋の娘で、のちに弟ウィルヘルム・グリムの妻となったドルトヒェンが語ったものである。全ヨーロッパに分布する。

[小澤俊夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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