シンデレラ(読み)しんでれら(その他表記)Cinderella

翻訳|Cinderella

デジタル大辞泉 「シンデレラ」の意味・読み・例文・類語

シンデレラ(Cinderella)

《灰かぶり娘の意》欧州の昔話の主人公。継母と義姉妹に虐待される少女が、仙女の助けで舞踏会に出かけ、ガラスの靴が縁で王子と結ばれる。グリムペローの童話が有名。サンドリヨン
突然の幸運に恵まれた人のたとえ。「シンデレラボーイ」

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精選版 日本国語大辞典 「シンデレラ」の意味・読み・例文・類語

シンデレラ

  1. ( Cinderella )
  2. [ 1 ]
    1. [ 一 ] ヨーロッパの昔話中の女主人公。継母にいじめられていた少女が、ガラスの靴が縁で王子と結婚する。グリムやペローの童話で知られる。また、日本にも「紅皿欠皿」など、同系統のまま子いじめの話がある。
    2. [ 二 ] ( 原題[フランス語] Cendrillon ) [ 一 ]に基づいてフランスの童話作家シャルル=ペローの書いた童話。
    3. [ 三 ] [ 二 ]に基づいたオペラ、バレエ曲。ロッシーニ、マスネーらがオペラを、シェル、デランジェ、プロコフィエフらがバレエ曲を作曲している。
  3. [ 2 ] 〘 名詞 〙 突然の幸運に恵まれた人のたとえ。「シンデレラボーイ」
    1. [初出の実例]「世間に男のシンデレラと言われようがクソ食らえだ」(出典:汚れた英雄 野望篇(1967)〈大藪春彦〉シンデレラ・ボーイ?)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シンデレラ」の意味・わかりやすい解説

シンデレラ
しんでれら
Cinderella

昔話の女主人公の名。本来は口伝えの継子譚(ままこたん)だが、フランスではシャルル・ペローが『過ぎた昔の物語ならびに小話』(1697)のなかに『サンドリヨンまたは小さなガラスの靴』として再話している。継子が家のつらい仕事ばかりさせられ、台所の灰の上に座っているので、サンドリヨン(灰かぶり)とよばれる。王子が舞踏会を催すと、継母の実子たちは正装して出かける。継子も行きたくて泣いていると、名付け親である仙女が現れ、カボチャを杖(つえ)でたたいて馬車にし、二十日鼠(はつかねずみ)を馬に、太った鼠を御者に、トカゲを従僕に変身させ、継子の服も豪華なものに変えて、舞踏会に行かせる。そこでは王子に注目されて、ともに踊るが、夜中の12時前に帰宅して、元どおりの姿になる。翌日も美しい姿で行って踊るうち、12時の鐘が打ち始めたので急いで帰る。そのときガラスの靴の一方を置き忘れ、王子は、その靴に足のぴったりあう娘を妻に迎えるという。高貴な女性には靴があわず、嘲笑(ちょうしょう)のうちに継子が履くとぴったりあう。名付け親が現れ、服を杖でたたくとふたたび豪華な服になる。継子は王子の妻になる。ドイツではグリム兄弟が、その口伝え童話集のなかに『灰かぶり』Aschenputtelと題してドイツの類話を入れている。

 この型の継子譚は世界的に分布があるので、変化も多い。継子の祭り見物を妨害するために、継母が継子に、灰の中から豆を選び出すなどの難題を課するが、いつも親切にしてもらっている動物たちがきて手伝ってくれるという話もある。また、実母の墓に生えた木から美しい着物などが与えられるという話もあり、これは、日本の御伽草子(おとぎぞうし)の『鉢かづき』のモチーフに通じる。シンデレラの発見は、王子のスープに入れた指輪によるということもある。スウェーデンビルギッタ・ルートの研究によれば、この話はオリエント起源で、西と東に分かれて伝播(でんぱ)したものと考えられている。日本の昔話では「米福糠福(こめぶくぬかぶく)」がこの系統で、「姥皮(うばかわ)」も部分的には対応がみられる。

[小澤俊夫]

音楽

ペローの「シンデレラ物語」は、西洋音楽の題材としてオペラやバレエに取り上げられてきた。オペラではイタリアのロッシーニ作曲の『シンデレラ、または真心の勝利』(1817・ローマ初演)が今日でもよく上演されるし、フランスのマスネにもオペラ・コミック『シンデレラ』(1890・パリ初演)がある。バレエ化もオペラと並行して行われてきたが、今日ではプロコフィエフ作曲の『シンデレラ』(1945・モスクワ初演。ザハロフ振付けで、主役をウラーノワが踊った)が有名。また、プロコフィエフはこのバレエ音楽から、三つの演奏会用組曲をつくっている。

[寺崎裕則]

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改訂新版 世界大百科事典 「シンデレラ」の意味・わかりやすい解説

シンデレラ
Cinderella

世界的に分布の広い継子話の女主人公の英語名。話の起源はオリエントと考えられている。フランスではシャルル・ペローが《昔々の物語ならびに教訓》(1697)に〈サンドリヨン〉の名で,口伝えの再話作品をのせ,ドイツでは《グリム童話集》21番に〈灰かぶり〉がある。口伝えの類話にも多様な変化と組合せがあるが,ほぼ次のような骨格をもつと考えられる。継娘が継母とその実子に虐待されるが,親切な動物が食物や贈物をくれる。実子がそれを知り,継母が動物を殺す。シンデレラがその死体を埋葬すると,墓に上等な服がおいてある。王子が祝宴を開くことになると,継母は難題を与えてシンデレラを行かせまいとする。動物たちの援助で難題を片づけ,墓の上等な服を着てシンデレラが祝宴に行くと,王子は美しさに打たれて娘をひきとめるが,2度までは逃げられ,3度目に娘の靴だけを手に入れる。王子はその靴に合う足の娘を探し,ついにシンデレラを発見して結婚する。この話は他の継子話,《一つ目,二つ目,三つ目》や《千びき皮》などと混じりあいながら多様な変化をして伝承されている。動物の墓は,しばしば実母の墓ともいわれ,そこに木が生えて美しい着物を出してくれるという。死霊が植物に化成するという古い宗教観念の反映と考えられる。日本の《米福糠福》もこの系統の話と考えられるし,《姥皮》もこの話の後半部分と関係がある。
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百科事典マイペディア 「シンデレラ」の意味・わかりやすい解説

シンデレラ

ペローの童話集に収められている説話の女主人公の英語名。フランス名〈サンドリヨン〉。継母と義姉妹にいじめられていたシンデレラ(灰かぶりの意)が,妖精(ようせい)の助けで,美しい衣服とガラスの靴をつけて舞踏会にいき,王子と踊る。王子は,帰りぎわにガラスの靴を忘れたシンデレラを捜し出して結婚,継母は実子を妃にしようとして失敗する。この型の昔話は世界中に分布しており,日本にも《鉢かづき》《糠福(ぬかぶく)米福》などの類話がある。シンデレラをテーマとした音楽作品も多い。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シンデレラ」の意味・わかりやすい解説

シンデレラ
Cinderella

フランスのシャルル・ペローの『童話集』 (1697) に収められた童話 (Cendrillo) の女主人公。「灰かぶり」の意味。継母にいじめられていた娘が妖精の手をかりて舞踏会に出て王子に見そめられ,あとに残したガラスの靴が手掛りとなって王子と再会,結婚して幸福をつかむ。東洋に起源をもち,全世界的に 500もの変形物語をもつ。日本にも類似の話として『鉢かづき』がある。

シンデレラ
Cinderella

バレエ作品。3幕7場。台本 N.ボルコフ,音楽 S.プロコフィエフ,振付 R.ザハロフ。 1945年ボリショイ・バレエ団初演。同名の C.ペローの童話によるロマンチックな作品であるが,F.アシュトンによる改訂版 (1948初演) では喜劇バレエとして人気を得た。そのほかシェル男爵や F.デルランジェらの音楽によるさまざまな改訂版がある。

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知恵蔵mini 「シンデレラ」の解説

シンデレラ

ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ製作・配給による2015年の米映画。原題CINDERELLA。監督ケネス・ブラナー。シャルル・ペローの童話を基にしたディズニーのアニメ映画「シンデレラ」(1950年製作)を実写化したもので、ヒロインのシンデレラ(エラ)をリリー・ジェームズ、意地悪な継母をケイト・ブランシェットが演じた。2015年、米国を皮切りに世界各国で公開され、同時上映の短編アニメーション映画「アナと雪の女王 エルサのサプライズ」と共に日本でも人気を博した。

(2015-4-30)

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デジタル大辞泉プラス 「シンデレラ」の解説

シンデレラ〔ディズニー〕

①1950年製作のアメリカ映画。原題《Cinderella》。シャルル・ペローの童話をもとにしたディズニー・アニメ。
②2015年のアメリカ映画。原題《Cinderella》。監督:ケネス・ブラナー、出演:リリー・ジェームズ、ケイト・ブランシェット、ヘレナ・ボナム・カーターほか。ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ製作。①のリメイク実写版。

シンデレラ〔バレエ〕

フランスの詩人・童話作家シャルル・ペローの同名の童話に基づくバレエ。ロシアの作曲家セルゲイ・プロコフィエフの曲を使用することが多く、1945年、モスクワのボリショイ・バレエ団がロスティスラフ・ザハーロフの振付で初演。ほかに、コンスタンチン・セルゲーエフ、フレデリック・アシュトンによる振付の版が知られる。

シンデレラ〔生活用品〕

大分製紙が販売する家庭用紙製品のブランド、またトイレットペーパーの商品名。ダブル2枚重ね、12ロール入り。ブランドはほかにペーパータオルがある。

シンデレラ〔小説〕

米国の作家エド・マクベインのミステリー(1986)。原題《Cinderella》。「ホープ弁護士」シリーズ。

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飲み物がわかる辞典 「シンデレラ」の解説

シンデレラ【Cinderella】


アルコールを含まないカクテルの一種。オレンジジュース、レモンジュース、パイナップルジュースをシェークしてカクテルグラスに注ぐ。ショートドリンク。

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世界大百科事典(旧版)内のシンデレラの言及

【バレエ音楽】より

…一方,同じ時期に発表されたファリャの《恋は魔術師》(1915)と《三角帽子》(1919)は,民族的色彩の濃いバレエ音楽として知られる。さらに1930年代以降にもボーン・ウィリアムズの《ヨブ》(1930),プロコフィエフの《ロミオとジュリエット》(1936)と《シンデレラ》(1944)などがあり,バレエ音楽は20世紀音楽の主要なジャンルとして定着するにいたった。 日本では,1910年代後半から20年代初めにかけて山田耕筰石井漠小山内薫の協力を得て創作した舞踊詩(《青い焰》《マリア・マグダレーナ》《野人創造》)がある。…

【プロコフィエフ】より

…ミーラはその後の病気がちなプロコフィエフの生活を支えた。ソ連では,オペラ《セミョーン・コトコ》(1939),《修道院での結婚》《戦争と平和》《真実の人間の物語》,バレエ曲《シンデレラ》(1944),《石の花》(1949),映画音楽《アレクサンドル・ネフスキー》(1938)など大規模な劇作品が多い。そのほかにも,《第5~第7交響曲》《第6~第9ピアノ・ソナタ》などあらゆる分野に多くの作品を残した。…

【灰】より

…焼畑農耕では灰が有用な肥料となることから,生命の源と考えられたのであろう。なお,C.ペローの童話で知られるシンデレラCinderellaの名は,〈燃えさしの灰〉を意味するcinderに由来し,原義は〈灰かぶり姫〉である。灰に埋もれて働くこの主人公は,死と再生を暗示するとともに古い豊穣神が童話化された姿でもある。…

※「シンデレラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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