南部アフリカ地域安全保障機構(読み)なんぶあふりかちいきあんぜんほしょうきこう(その他表記)SADC Organ on Politics,Defence and Security

知恵蔵 の解説

南部アフリカ地域安全保障機構

冷戦構造崩壊後、南部アフリカ地域の安全保障機構として旧フロントライン諸国(FLS)が果たしてきた役割を継承した機構。FLSは1974年、ジンバブエ解放闘争を支援するため、白人支配地域に最前線で接するザンビアタンザニアモザンビークボツワナが協議体を発足させ、その後アンゴラ(75年)とジンバブエ(80年)が加わった。政治的独立は経済の自立抜きではあり得ないという考えの下に、80年に発足した南部アフリカ開発調整会議(SADCC)は、FLSのほかにレソトスワジランドマラウイを加え(ナミビアも90年加盟)、地域の発展を目指してきたが、92年に共同市場を目指し南部アフリカ開発共同体(SADC)に改組、94年8月には新生南アフリカも正式に加盟した。これを契機に地域の安全保障問題が重要課題となり討議の末、96年6月にSADC首脳会議(ガボローネ)で、南部アフリカ地域安全保障機構が発足。議長はムガベ・ジンバブエ大統領。SADCにはモーリシャス(95年)、コンゴ民主共和国(97年)、マダガスカル(2005年)が加盟し、06年9月現在、14カ国。

(林晃史 敬愛大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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