卜占官(読み)ぼくせんかん

改訂新版 世界大百科事典 「卜占官」の意味・わかりやすい解説

卜占官 (ぼくせんかん)

アウグルaugurの訳語で,古代ローマの公的占い役。複雑な方式に従い天空や鳥の飛翔鳴声戦場では餌をついばむ鶏などを観察して神意を探る。不時の予兆も解く。卜占権はインペリウムに属し,最高公職者は就任にも民会召集・外征などの国事にも,そのつど占卜官に凶兆の有無を探らせ,神意にかなう行動を期した。古くは貴族3名,前300年から平民を含む9名が推薦により就任し,後に17トリブスで選挙された。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の卜占官の言及

【鳥】より

… 鳥の行動を観察して神意を占うことも世界各地に例を見,とくに重要なのは古代ローマの鳥占いである。これを行う卜占官は通常3人から成る高位の官職で,実施される国事の吉凶を鳥の飛び方や数により占うのを職務とした。エンニウスの《年代記》によれば,ロムルスとレムスのどちらをローマ最初の支配者とするかを決めるのにも,鳥占いが行われたという。…

【ローマ】より

…政務官の選出も神慮にかなって行わるべきものとされ,就任に際しても祭儀は不可欠であった。これらのことから,鳥の飛翔や動物の内臓によって吉凶を占う卜占官が必要とされた。これら卜占や犠牲の方式,祭司の衣服などにはエトルリア人の影響が大きい。…

※「卜占官」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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