日本大百科全書(ニッポニカ) 「厚生年金給付特例法」の意味・わかりやすい解説
厚生年金給付特例法
こうせいねんきんきゅうふとくれいほう
年金記録漏れの問題に対応するために2007年(平成19)に制定された厚生年金の給付等に関する特例法。正式には「厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律」。平成19年法律第131号。総務省の年金記録確認第三者委員会が、事業主が従業員から厚生年金保険料を源泉徴収しながら、社会保険庁に納付したことが明らかでないと認定した場合には、日本年金機構はその判断を尊重して年金記録を訂正し、年金額に反映させるもので、年金記録問題に対処するための臨時的措置として制定された。しかしその後、古い記録に係る事案にとどまらず、最近の期間を対象にした事案も発生していることから、2013年の公的年金健全性・信頼性確保法(正式の法律名は「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」)により、年金制度における恒常的な措置として、被保険者等による年金記録訂正請求を可能とし、民間有識者の審議結果に基づき厚生労働大臣が訂正する手続きが整備された。
[山崎泰彦 2016年7月19日]