日本大百科全書(ニッポニカ) 「原始的な装盾類」の意味・わかりやすい解説
原始的な装盾類
げんしてきなそうじゅんるい
Basal Thyreophora
鳥盤目ゲナサウルス類装盾類(亜目)に含まれる草食恐竜。剣竜(けんりゅう)類(下目)やよろい竜類(下目)と違って、ジュラ紀前期、約1億9960万年~1億7560万年前の地層から産出した。一般には剣竜類の祖先とも、よろい竜類の祖先とも考えられる未分化の初期の代表と考えられている一群の恐竜。たとえばスケリドサウルスScelidosaurusは、背中の骨板が背筋に沿った列をなしており、大きくなれば剣竜類の祖先になりうるが、前恥骨(ちこつ)突起が縮小しているので、その特徴はよろい竜類の祖先を示唆するなどといわれる。後の装盾類が失っている前顎骨(ぜんがくこつ)・前歯骨の歯をもち、眼窩(がんか)後方の外側頭窓(そくとうそう)が細いすきまのように残っている。またスクテロサウルスScutellosaurusはもう少し古い時代の恐竜で、頭骨がファブロサウルスFabrosaurusに似るが、背中が骨質の小さなこぶで覆われ、頭骨や指骨の構成などスケリドサウルスと密接な関係をもつ。つまり、剣竜類とよろい竜類の共通祖先に近い姉妹グループで、基盤装盾類ともよばれる。
[小畠郁生]