日本大百科全書(ニッポニカ) 「よろい竜類」の意味・わかりやすい解説
よろい竜類
よろいりゅうるい
ankylosaur
[学] Ankylosauria
北アメリカやアジアなどのジュラ紀中期、約1億6470万年~6550万年前の地層から産出した四本肢(あし)の恐竜。分類学上は鳥盤目装盾(そうじゅん)類(亜目)よろい竜類(下目)。名称は、ラテン語で「曲がった爬虫(はちゅう)類」あるいは「癒着した爬虫類」を意味し、大きく曲がった肋骨(ろっこつ)をもっていたことか、皮骨が癒合し甲らのような背甲をもっていたことを表す。ここでは外見を重視し、後者の意味にとっておく。現生アルマジロと似た重装備をした種類で、装甲竜類または曲竜類ともいう。剣竜類と似て頭部は非常に小さく、弱い歯をもつ。剣竜類とあわせてエウリポッド類Eurypodaを構成する。ノドサウルスNodosaurusのように尾端に骨質のハンマーをもたないグループ(ノドサウルス科Nodosauridae)と、アンキロサウルスAnkylosaurusのように尾端に骨質のハンマーをもつグループ(アンキロサウルス科Ankylosauridae)がある。ポラカントゥスPolacanthusは、背から尾にかけて2列の大きい棘(とげ)状突起があり、腰は小さな骨のモザイクで守られていた。サイカニアSaichaniaやタラルルスTalarurusはさらに重いよろいをもっていた。また背の数列の棘だけでなく、横腹にも1列に大きな棘状突起が並んでいた。
[小畠郁生]