最新 地学事典 「原形論」の解説
げんけいろん
原形論
archetype theory
ゲーテ(J.W.von Goethe)が提唱した形態学(Morphologie)の理論。植物の生長を見ると,ある一つの原形(Urbild, Urtypus)がそのときどきに応じて,子葉・茎葉・萼・花弁・雄蕊・雌蕊へと変身し個々の形になる。昆虫では,幼虫の体節構造が変態して,頭・胸・腹の各部になる。このように,原形が変容(Metamorphose)して個々の形が形成されるという理論。ゲーテはこの考えを脊椎動物の頭蓋にも適用し,頭蓋がいくつかの椎骨によって形成されているという頭蓋椎骨説(Wirbelhypothese des Schädels)を提唱した。この説はL.Oken・C.G.Carus・R.Owenらに受け継がれたが,T.H.Huxleyによって批判され,その後,あまり顧みられなくなった。しかし,最近になって,索前体節(ソミトメア)説や,菱脳の分節構造(ロンボメア)が鰓弓の分節構造を規定していることが発見され,再評価されている。原形論はその後,ラマルクやダーウィンの進化論に発展した。
執筆者:後藤 仁敏
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

