菱脳(読み)リョウノウ(英語表記)rhombencephalon

デジタル大辞泉 「菱脳」の意味・読み・例文・類語

りょう‐のう〔‐ナウ〕【×菱脳】

脳の発生過程でできる脳胞の最も後方のふくらみ。内腔に第四脳室があり、やがて前部後脳に、後部髄脳に分化する。

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精選版 日本国語大辞典 「菱脳」の意味・読み・例文・類語

りょう‐のう ‥ナウ【菱脳】

〘名〙 脳の一部の発生学上の呼称。第四脳室の底にある菱形のへこみをかこむ部分をいう。菱形脳。

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改訂新版 世界大百科事典 「菱脳」の意味・わかりやすい解説

菱脳 (りょうのう)
rhombencephalon

脊椎動物の脳の発生において,最初に現れてくる三つの膨大部(脳胞)の中で,最も後ろの後脳胞をいう。のちに菱脳の前部からは小脳(きよう),後部からは延髄が分化してくる。菱脳の内腔は第四脳室と呼ばれる。えらに関係する神経が出入りして菱形(ひしがた)に膨らんでいるために菱脳の名がある。哺乳類以外の菱脳の腹側表面には,哺乳類にみられる大脳皮質と関係した橋の基底部,錐体などは認められない。各機能区域は生活様式と関連して変異を示す。例えばフナの臓知覚区は,味覚の受容器の発達に伴って大きくなる。フクロウナマズでは聴覚が発達し,体知覚区の内耳または側線器官に関係した細胞集団が膨隆する。ある種の硬骨魚類の体運動区には,マウスナー細胞Mauthner cellといわれる直径150μm以上の巨大細胞があり,軸索は左右交叉(こうさ)して脊髄まで下降し,尾の急速な運動をつかさどる。
神経系
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「菱脳」の意味・わかりやすい解説

菱脳
りょうのう
rhombencephalon

脊椎動物の発生の際,神経管中枢神経系原基として形成されてくるが,その先端部に肥厚肥大部が現れ,前後方向に3つのくびれが生じてくる。端脳,中脳,菱脳がそれで,最後部の菱脳を後脳 (広義) ともいう。発生が進むと菱脳は2つにくびれて,前方に後脳 (のちに小脳橋に区分されてくる) ,後方に延髄ができてくる。菱脳の内腔は第四脳室と呼ばれている。

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世界大百科事典(旧版)内の菱脳の言及

【神経系】より

…すなわち終脳,間脳,中脳,後脳および髄脳が区分される。小脳を除いた後脳の腹側部分と髄脳とを合わせた部分が菱脳(りようのう)と名付けられる。哺乳類以外ではこれを延髄というが,哺乳類では髄脳の部分だけが延髄と名づけられる。…

【大脳】より

…大脳皮質は大脳半球の機能を代表する部位であり,大脳半球は大脳を,また大脳は脳を代表する部位である。大脳以外の脳の部分としては,菱脳(りようのう)(橋(きよう)と延髄)と小脳がある。【水野 昇】【正井 秀夫】。…

※「菱脳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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