取り調べの可視化
自白強要など違法な取り調べを防止し、公判で供述の任意性や信用性を立証するため、取り調べの状況を音声と映像で記録すること。検察は2006年、警察は08年から裁判員裁判対象事件の一部で開始した。厚生労働省の局長だった村木厚子さんの無罪が確定した文書偽造事件をきっかけに捜査・公判改革の議論が始まり、16年5月、裁判員裁判事件と検察の独自捜査事件で、逮捕した容疑者を対象に取り調べ全過程の録音・録画を義務付けた改正刑事訴訟法が成立した。
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「取り調べの可視化」の解説
取り調べの可視化
捜査機関による取り調べを録音・録画し、行きすぎた捜査や冤罪を防ぐため後からチェックできるようにすること。日本弁護士連合会が導入を強く求めてきた。富山県で無実の男性が虚偽の自白で刑に服した事件や、鹿児島県議選をめぐる選挙違反事件で被告12人全員が無罪となったことをきっかけに、一段と活発に議論されている。 最高検は2006年夏から、一部の事件の取り調べで録音・録画の試行を始めた。09年に裁判員制度が始まるのを見据え、裁判員に分かりやすく、かつ迅速に捜査段階の自白が任意だったことを立証するための「武器」として有効だと考えた。 東京地検が容疑者の自白シーンを記録したDVDが、07年5月に初めて裁判の証拠として採用され、東京地裁の法廷で再生された。スクリーンには、容疑者の上半身の大きな映像と、容疑者と検察官が机を挟んで向き合う状況を見下ろした小さな映像が並んだ。 「あなたは共犯としてかかわっていたのですか」「間違いありません」 「どうして認めたの」「ずっと悩んでいましたけど、共犯者は黙秘していると聞いたので、自分の口から言わないといけないと思いました」 こうしたやりとりが10分ほど再生された。映像の脇には、録画した日時も記録されていた。 東京地検で始まった試行は全国の地検に広がっている。日本弁護士連合会は「一歩前進」と受け止めているが、検察にとって都合のいい部分だけを切り取って証拠にする恐れがあるため、あくまでも警察を含めた取り調べの全過程を可視化するよう求めている。欧米やアジアの主な国でも実施されていることから、「世界的潮流だ」とも訴えている。 しかし、検察は全面可視化の検討はしていない。警察も「容疑者が真相を話さないなど捜査がしにくくなる」と主張して全面可視化には反対しているが、取り調べの一部の録音・録画を試行することに決めた。
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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