無罪(読み)ムザイ

デジタル大辞泉 「無罪」の意味・読み・例文・類語

む‐ざい【無罪】

罪がないこと。
刑事裁判で、被告人行為が罪にならないか、または犯罪証明されないこと。また、その判決。「無罪放免」⇔有罪
[類語]無辜無実

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精選版 日本国語大辞典 「無罪」の意味・読み・例文・類語

む‐ざい【無罪】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 罪のないこと。無辜(むこ)
    1. [初出の実例]「或押領所寄之神田、或滅亡無罪之神民、未曾有之違例也」(出典:香取神宮文書‐建久八年(1197)二月日・関白家政所下文案)
    2. [その他の文献]〔書経‐無逸〕
  3. 刑事裁判で、判決により、被告人の行為が罪とならず、あるいは犯罪の証明がないとして、被告人に刑罰を科さないことが明らかにされること。
    1. [初出の実例]「犯罪の証憑十分ならず又は被告事件罪と為らさるときは判決を以て無罪の言渡を為し」(出典:刑事訴訟法(明治二三年)(1890)二二四条)

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改訂新版 世界大百科事典 「無罪」の意味・わかりやすい解説

無罪 (むざい)

刑事訴訟において,裁判所が審理の結果言い渡す裁判の一種検察官が主張していた事実が罪とならないとき,または犯罪の証明がないとき,裁判所は無罪の判決をしなければならない(刑事訴訟法336条)。〈罪とならないとき〉とは,たとえば,検察官が適用を求めた刑罰法規が憲法に違反し無効と判断すべき場合や,法律解釈上審理の結果証明された事実には適用できない場合,また正当防衛が認められたり,被告人が刑事責任を負うことができない事情があるなどの結果,犯罪が成立しない場合である。一方,〈犯罪の証明がないとき〉には,被告人のアリバイが判明したり,真犯人が明らかになるなど被告人の無実が積極的に証明された場合と,有罪判決をするだけの証明が不十分であった場合とがありうる。しかし,刑事裁判においては,検察官側に被告人が有罪であることを合理的な疑いをこえる程度まで証明する責任があり,被告人には,みずからの無実を積極的に証明する義務はない。証明不十分による無罪は,有罪の証明がなかったという点において無実の証明があった場合と区別はなく,無罪判決自体に種別を認めるのは〈疑わしいときは被告人の利益に〉という刑事裁判の鉄則に反する。

 第一審の無罪判決に対して,検察官は控訴することができるが,被告人が控訴することは認められない。無罪判決が確定した場合,無罪とされた行為について被告人であった者がふたたび刑事責任を問われることはなくなる(憲法39条)。なお,無罪の判決が確定した後,被告人は,弁護人に対する報酬など裁判に要した費用補償を求めることができる(刑事訴訟法188条の2~188条の7)。また,逮捕・勾留など未決抑留拘禁を受けていた場合には,刑事補償を請求することができる(憲法40条,刑事補償法)。
有罪
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「無罪」の意味・わかりやすい解説

無罪
むざい

被告人が罪を犯したと認められないこと,またはその旨の裁判。証拠上犯罪事実が認められない場合と,被告事件が犯罪を構成しない場合とがある (刑事訴訟法 336) 。被告人は無罪の推定を受けているから,犯罪事実が確実に立証されないかぎり,無罪を言い渡さなければならない。無罪の判決が確定したときは,被告人であった者は,国から裁判に要した費用の補償を受けることができるほか,未決拘禁を受けていた場合には,これに対する補償を請求することができる (刑事訴訟法 188条の2,憲法 40,刑事補償法1) 。

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普及版 字通 「無罪」の読み・字形・画数・意味

【無罪】むざい

罪なし。

字通「無」の項目を見る

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