改訂新版 世界大百科事典 「古代DNA分析」の意味・わかりやすい解説
古代DNA分析 (こだいディーエヌエーぶんせき)
古代試料に残るDNAを分析し,生物の系統や進化について研究する学問。DNAは比較的安定な化学物質であり,条件さえ良ければ数万年前の試料からでも回収することができる。この分野は1980年代の後半に,微量なDNAを増幅することができるPCR法が開発されたことによって一気に発展した。これまでに化石人類や,マンモスをはじめとする絶滅した動物から回収されたDNAが解析され,その起源や現生の生物との系統関係などが調べられている。ただし微量なDNAを扱うので,外在性のDNAによる汚染(コンタミネーション)が常に問題となる。かつて発表された恐竜のDNAデータなどは,現在では誤りであることが分かっている。
→ホモ・ネアンデルタレンシス
執筆者:篠田 謙一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報