改訂新版 世界大百科事典 「古逸叢書」の意味・わかりやすい解説
古逸叢書 (こいつそうしょ)
Gǔ yì cóng shū
中国,清の光緒年間(1875-1908),黎庶昌(れいしよしよう)(1837-97)が編集した叢書。中国本土で早く滅び,日本にだけのこっていたものを集めた。いずれも黎庶昌が外交官として日本に在勤中に収集し,それを随員であった楊守敬が校正して,日本で原形そのままに復刻して刊行した。首尾完全な書物もあり,一部分だけしかのこっていないいわゆる〈残本〉もあるが,総計26種。《文館詞林》《太平寰宇記(たいへいかんうき)》《原本玉篇》等はいずれも残本であり,それでも復刻することが必要であっただけ貴重なものであったといえるが,少なくとも1種,日本人の偽造者による〈唐写本〉が,それと悟られずに復刻されたという話もある。
執筆者:尾崎 雄二郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報