可児藤吉(読み)カニ トウキチ

20世紀日本人名事典 「可児藤吉」の解説

可児 藤吉
カニ トウキチ

昭和期の生物学者



生年
明治41(1908)年1月1日

没年
昭和19(1944)年7月18日

出生地
岡山県

学歴〔年〕
京都帝大農学部〔昭和8年〕卒

経歴
福井県立武生中臨時講師を経て、昭和13年京都帝大理学部大学院生となり、川村多実二師事。18年応召、19年マリアナ方面で戦死した。川と瀬の生物の関係や“棲みわけ理論”に先駆的な業績を残す。主著に「渓流棲昆虫の生態学」「可児藤吉全集」(1巻)がある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「可児藤吉」の解説

可児藤吉 かに-とうきち

1908-1944 昭和時代前期の生物学者。
明治41年1月1日生まれ。川の瀬と淵に生息する生物群を生態学的にとらえ,「すみわけ」の概念をあきらかにした。昭和19年7月18日マリアナ諸島方面で戦死。37歳。岡山県出身。京都帝大卒。著作に「渓流棲昆虫の生態」。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の可児藤吉の言及

【生物群集】より

…こうした具体的な生物と生物との間の食う食われるの関係を連ねてみると,そこに食物連鎖food chainができあがる。 食物連鎖図のかかれた最初は,1913年のV.E.シェルフォードによるアメリカ合衆国イリノイ温帯草原についてのものといわれ,一方,日本での食物連鎖図の最初は,可児藤吉(1908‐44)が1938年にかいた水生昆虫を中心とする渓流生物についてのものだろう。ちなみに芸術作品には,もっと古い時期から食物連鎖をあらわしたものがあって,例えば《ガリバー旅行記》の著者のスウィフトには〈ノミの体にゃ血を吸う小さいノミ,小さいノミにはその血を吸う細っかいノミ,こうして無限に続いてる〉という詩があるし,16世紀フランドルの画家大ブリューゲルの作《大きい魚は小さい魚を食う》は,つとに有名である。…

※「可児藤吉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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