可美葦牙彦舅尊(読み)ウマシアシカビヒコジノミコト

デジタル大辞泉 「可美葦牙彦舅尊」の意味・読み・例文・類語

うましあしかびひこじ‐の‐みこと〔うましあしかびひこぢ‐〕【可美葦牙彦舅尊】

日本神話で、国土が油のように漂っていたとき、アシがもえ出るように生じた神。生命力の神格化。宇摩志阿斯訶備比古遅神うましあしかびひこじのかみ

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改訂新版 世界大百科事典 「可美葦牙彦舅尊」の意味・わかりやすい解説

可美葦牙彦舅尊 (うましあしかびひこじのみこと)

日本神話にみえる神の名。原初の神。ウマシは賛称。アシカビは葦の若芽。ヒコジは成人男性名に下接する語。日本の宇宙起源神話は,渾沌(こんとん)に始まり,そこからしだいに形相が現れる進化型の形で語られる。その原初の形相を,若々しく鋭く砂州を突き出る葦の芽に託したのがこの神名である。いかにも海洋民らしい美しい幻想である。同じ原初神に国常立(とこたち)神があるが,この方は形相の実現の観念的表現である。
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朝日日本歴史人物事典 「可美葦牙彦舅尊」の解説

可美葦牙彦舅尊

日本神話の冒頭部,天地創成時に出現する神。ウマシは美称,アシカビは葦の若芽,ヒコジは男性の意と考えられ,素晴らしい葦の芽の男性神と解される。『古事記』では宇摩志阿斯訶備比古遅神と記され,天之御中主神に始まる冒頭の5神「別天神」の1神に数えられている。『日本書紀』では,6異伝のうちの3つに登場するが,冒頭の神(国常立尊)を「葦牙」のように出現したとする表現もあり,葦の芽生える生命力は,ひとつの始源の象徴としてイメージされていたことがわかる。農耕に従事する人々の生活のなかから思考された神か。<参考文献>大林太良『日本神話の起源』,斉藤静隆「『日本書紀』神代巻冒頭部の構成」(『国学院雑誌』92巻1号)

(寺田恵子)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「可美葦牙彦舅尊」の解説

可美葦牙彦舅尊 うましあしかびひこじのみこと

記・紀にみえる神。
まだ天地が混沌(こんとん)としているとき,葦の芽が萌(も)えだすように,萌えあがるものから生まれた。「うまし」はほめ言葉,「あしかび」は葦の芽,「ひこじ」は成人男性の意味。「古事記」では宇摩志阿斯訶備比古遅神。

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