台城里古墳群(読み)だいじょうりこふんぐん(英語表記)T`aesongni-kobungun

改訂新版 世界大百科事典 「台城里古墳群」の意味・わかりやすい解説

台城里古墳群 (だいじょうりこふんぐん)
T`aesongni-kobungun

朝鮮民主主義人民共和国,平安南道大安市台城里にある,無文土器(青銅器)時代から三国時代高句麗にかけて営造された古墳群。1957年に発掘調査された。まず無文土器時代では,箱式石棺墓2基,支石墓10基余りと,竪穴式住居跡1基が知られる。この付近の有力階層が支石墓など比較的顕著な墳墓を営んだものであろう。次いで原三国時代では,土壙墓12基,甕棺墓5基,木槨墓1基,塼室墓1基が調査された。築造年代は,およそ前1世紀後半から後1世紀後半以降にわたっている。これらのうち木槨墓と塼室墓は楽浪郡の官人墓であるのに対して,土壙墓はおそらく在地の有力階層の墳墓と考えられよう。土壙墓には細形銅剣銅矛のほか,銅鏡,帯鉤,弩機などの遺物を出土したものがある。そして,三国時代に入ると,横穴式石室を包蔵する方形の封土墳が築かれる。4世紀後半の墳墓2基のうち,1基は複室構造をもち,肖像画,行列図,生活図などの壁画を描いている。6~7世紀の墳墓3基は,いずれも末期形式の単室構造となっている。ともにこの地域の有力階層が高句麗の支配階層の一部を構成し,新たに封土墳を営造したものと思われる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android