台湾民報(読み)たいわんみんぽう(その他表記)Tai-wan min-bao

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「台湾民報」の意味・わかりやすい解説

台湾民報
たいわんみんぽう
Tai-wan min-bao

日本統治時代の台湾の抗日運動機関誌。週刊。 1923年4月 15日~32年4月9日。 410号。ただし 306号より『台湾新民報』と改題。 20年,抗日政治運動の機運が高まり,新民会が結成されると,その機関誌として7月『台湾青年』が創刊され,22年4月『台湾』と改題された。2誌は日本文,漢文2本立ての構成であったが,運動の進展とともに中国本土への一体化指向が強まり,本土での新文化運動推進の武器であった白話文 (中国語の口語文体) による言論活動が提唱されるようになり,その漢文欄が切り離されて白話文のみによる『台湾民報』が創刊された (のち弾圧をそらすため日本文欄を併設) 。当初,台湾島内発行不許可のため東京で発行されていたが,27年8月から島内発行となり,さらに 29年日刊新聞発行を期して台湾新民報社が設立され,誌名が『台湾新民報』に改められたが,その実現はようやく 32年4月であった。本誌は『台湾』終刊 (1924.5) 後,抗日運動の唯一の公開言論機関であったが,また胡適魯迅,郭沫若らの作品の転載など中国革命の息吹きを台湾に伝えた点でも注目される。なお台湾文化協会の分裂時,本誌は右派に握られ,文化協会に拠る左派は『台湾大衆時報』を創刊した。また日刊紙『台湾新民報』は 41年『興南新聞』と改称され,44年全島の新聞の統合により停刊となった。

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