正義についてキケロが述べた言葉,「各人に彼のものを配分すること,それがまさに最高の正義である」 suum cuique tribuere,ea demum summa justitia estやウルピアーヌスの言葉を簡略化したもの。アリストテレスの配分的正義とともに,正義に関する簡潔,的確な表現として名高い。しかし,正義が問題となる際に議論の的となる「何が彼のものであるか」について明らかにしていない点で,内容の空虚な公式にすぎないと批判されることもある。「何が彼のものであるか」を定めた既存の法秩序を前提してのみ機能する公式といえよう。