合金の状態図(読み)ごうきんのじょうたいず(その他表記)phase diagram of alloy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「合金の状態図」の意味・わかりやすい解説

合金の状態図
ごうきんのじょうたいず
phase diagram of alloy

状態図は温度・成分濃度による相状態の変化を示すもので,全率固溶体共晶共析包晶,包析,偏晶,固体偏晶反応など種々のタイプに分類されている。合金の状態図の特徴は,酸化物の状態図に比較して固溶体領域が相対的に多いことである。これは金属の方が化合物よりも均一に混合しやすいことを意味している。状態図は合金の性質熱処理の方法,製造法などの研究に最も基礎的な資料となるので,多くの合金について詳細な研究がなされている。状態図の作成には熱分析,膨張測定,比熱測定,電気伝導度測定,金属顕微鏡法,X線回折法など,あらゆる金属物理学的手法が駆使される。3成分以上の合金では成分数と組成と温度とで四次元以上になり非常に複雑であるため,中間の金属間化合物などを介する擬二元系状態図,また温度を固定した等温断面図が用いられる。

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