ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「共析」の意味・わかりやすい解説 共析きょうせきeutectoid 均質な固溶体が温度低下により2種の固相成分に分解する現象。共晶とよく似た過程をとるので状態図では同じような形になる。しかし共析は固体内の反応であるため,固溶体の成分原子が移動して2種の異なる固相を形成するには,共晶の場合よりはるかに時間がかかる。したがって共析が完全に起るには緩徐な冷却が必要で,冷却速度が大きいと十分に共析が進まず準安定相が形成される場合がある。鋼の焼入れは,これを利用して平衡状態図上には現れないマルテンサイト組織を形成させる処理であり,アルミ青銅の自己焼鈍効果は,緩徐冷却において望ましくない共析が起ってしまう例である。このように共析は合金の熱処理と密接な関係がある。共析組織は2種の組織成分が同時に析出するため特徴的な非常に微細な組織で,炭素鋼のパーライトは典型的な例である。またパーライトと同様なラメラ組織を呈する相分解に不連続析出があるが,こちらは本質的に温度に対して非可逆的な反応であり,共析反応とは明らかに異なる。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by