向か離く(読み)ムカサク

デジタル大辞泉 「向か離く」の意味・読み・例文・類語

むか‐さ・く【向か離く】

[動カ下二]はるか遠く離れている。
「―・くる壱岐いきの渡りを目頰子めづらこ来到きたる」〈継体紀・歌謡
[補説]用例の「むかさくる」を「壱岐」の枕詞とする説がある。

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精選版 日本国語大辞典 「向か離く」の意味・読み・例文・類語

むか‐さ・く【向離】

  1. 〘 自動詞 カ行下二段活用 〙 はるかに遠く離れる。
    1. [初出の実例]「韓国(からくに)を 如何(いか)に言(ふ)ことそ 目頬子(めづらこ)きたる 武哿左屨楼(ムカサクル) 壱岐の渡りを 目頬子きたる」(出典日本書紀(720)継体二四年是歳・歌謡)

向か離くの補助注記

( 1 )挙例の「書紀」が唯一の例。「むか」は「向」で、遠く対面すること。「さくる」については、( イ )四段活用自動詞「さく(離)」に「あり」のついた「さかる」の転であるとする説、( ロ )下二段活用他動詞とみて、海神が向かいに遠ざけているの意とする説などがある。
( 2 )「いさなとり 近江の海を 奥(おき)放而(さけて) 漕ぎ来る船」〔万葉‐一五三〕のように、下二段動詞「さく」を自動詞的に自ら離れる意に用いることもあり、これも元来他動詞であったものを自動詞的に用いたものか。
( 3 )「むかさくる」を地名、あるいは壱岐にかかる枕詞とみる説もある。

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