普及版 字通 「吝(漢字)」の読み・字形・画数・意味
吝
7画
(異体字)悋
10画
[字訓] おしむ・やぶさか・はじる
[説文解字]
[甲骨文]
[その他]
[字形] 会意
(文)+口。古文の字形は(ぶん)に従う。は文身。死者の胸に通過儀礼として施すもので、はその文身の美をいう。口は(さい)、祝を収める器。死者について祈る意象の字であるらしく、〔説文〕二上に「恨惜(こんせき)するなり」とし、(ぶん)声とするが、声が合わない。〔段注〕に「多く之れを(かざ)るに口を以てす」と口説を以て文飾する意とするが、吝嗇(りんしよく)の意を説きがたい。〔易〕の卦爻の辞に「くときは吝なり」のように凶の意に用いる。凶事のときの儀礼に関する字と思われる。〔書、仲之誥〕に「ちを改めて吝(をし)まず」とは憚らぬ意。のち吝嗇の意に用いる。
[訓義]
1. おしむ、やぶさか。
2. ものおしみする、むさぼる。
3. はじる、うらむ。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕 ヲシム・ムサボル・ヤブサガル・ヤフサガシ・ヤヤヒサシ 〔字鏡〕悋 ヲシム・キシム・ムサボル・ツタナシ・ヤウサシ・ヒサク・ヒロク・アヤシ
[語系]
吝linと・婪lm、貪thmとは声義に通ずるところがあり、みなむさぼり、おしむ意がある。
[熟語]
吝愛▶・吝細▶・吝嫉▶・吝情▶・吝嗇▶・吝色▶・吝心▶・吝惜▶
[下接語]
愛吝・悔吝・咎吝・驕吝・倹吝・慊吝・慳吝・惜吝・繊吝・貪吝・偸吝・鄙吝・吝
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報