普及版 字通 「呂(漢字)」の読み・字形・画数・意味
呂
常用漢字 7画
(異体字)膂
14画
[字訓] かね・せぼね
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 象形
青銅器などを作る材質の銅塊の形。卜文・金文の字形は、上下を連ねる線がなく、銅塊の形である。〔説文〕七下に「脊骨なり。象形」とし、また「昔、太嶽は禹の心呂(しんりよ)の臣爲(た)り。故に呂侯に封ぜらる」と呂国の字とする。呂はもと甫(ほ)といい、〔詩、大雅、高〕に「維(こ)れ嶽、をし 甫と申とを生む」とみえる。金文に(ほ)・侯(ほこう)と記すものがそれで、「禹の心呂」とするのは後の臆説である。また金文に「厥(そ)の吉金、玄鏐(げんりう)膚(ふりよ)を擇ぶ」とあって、はその銅塊の象とみられる。〔説文〕に呂を篆文とし、重文として膂(りよ)を録する。膂は膂力をいう字。のち呂をその義に通用する。「黄鐘大呂」のような律呂の義にも用いる。
[訓義]
1. かね、銅塊。
2. 膂と通じ、せぼね。
3. 律呂、六律六呂。呂は陰声。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕呂 タヒ・ツキ・タクヒ・トモカラ・セナカノホネ・サト/膂 セナカノホネ
[声系]
〔説文〕に呂声として・筥(きよ)、閭(りよ)など四字を収める。來(来)母(らいぼ)の字に里(り)・(かい)、(りよう)・膠(こう)のように、音の移る例がある。金文の(ほ)には古く古・胡を声符とするものがあり、甫との声の関係が考えられる。呂を古く甫・としるすのも、古音が近かったからであろう。大呂の呂を、またに作ることがあるのも、同例である。
[語系]
呂・膂liaは同声。呂は脊骨の象。膂は膂臂・膂力の意であるから、必ずしも呂の形声字ではないが、のち同字異文とされ、〔説文〕に膂を重文として録する。
[熟語]
呂鉅▶
[下接語]
語呂・脊呂・大呂・南呂・背呂・六呂・律呂
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報