律呂(読み)リツリョ

デジタル大辞泉 「律呂」の意味・読み・例文・類語

りつ‐りょ【律呂】

日本音楽で、の音。また、十二律音律音階旋法調子などをさす。呂律

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精選版 日本国語大辞典 「律呂」の意味・読み・例文・類語

りつ‐りょ【律呂】

  1. 〘 名詞 〙 雅楽の十二律の律と呂。転じて、音律。楽律。また、律旋呂旋
    1. [初出の実例]「東人得銅鐸於長岡野地〈略〉音協律呂」(出典続日本紀‐和銅六年(713)七月丁卯)
    2. [その他の文献]〔国語‐周語下〕

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改訂新版 世界大百科事典 「律呂」の意味・わかりやすい解説

律呂 (りつりょ)

中国や日本の音楽用語。呂律(りよりつ)ともいう。本来の字義は,陽陰,天地,甲乙のように,なんらかの集合を二つに分けた場合の名称で,律が標準的なもの,呂がそれに対するものという用い方もあるが,律,呂それぞれに特定の概念があるわけではない。中国では古来音律の意味で律呂の字を用いる(蔡元定《律呂新書》など)。この音律は楽律ともいい,音組織上の音高に関する規定をもさす。〈十二律呂〉という場合は,十二律を六つずつに分けたものをいい,奇数番目の6音律を,偶数番目の6音律をという。その両者を合わせたものを〈六律六呂〉ともいう。日本でも音律の意味で律呂を用いることが多いが,何かを2分類するときの対語としても使われ,例えば催馬楽(さいばら)は律歌,呂歌に分類されている。調名の分類に律,呂を用いた例では,狛近真こまのちかざね)の《教訓抄》(1233)で,壱越(いちこつ)調,乞食(こつじき)調,双(そう)調,水(すい)調,大食(たいしき)調,沙陀(さだ)調を呂,壱越性調,平(ひよう)調,性(せい)調,道(どう)調,黄鐘(おうしき)調,盤渉(ばんしき)調を律と区分しており,大神基政(おおがのもとまさ)の《竜鳴抄》(1133)では,いわゆる六調子を律呂に分類している。その後,律呂は旋法あるいは音階上の用語としても用いられるようになり,明治にいたっては洋楽の旋法の概念を導入して命名された〈律旋〉〈呂旋〉の2分類も行われた。声明(しようみよう)の音階論において,呂曲,中曲,律曲の区別がたてられたが,その規定するところは宗派により異同があって一定していない。いずれにせよ律,呂の区分はかなり便宜的に行われた場合が多く,時代によってその規定する内容も異なっていた。
十二律
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「律呂」の意味・わかりやすい解説

律呂
りつりょ

中国および日本の音楽用語で「呂律(りょりつ)」ともいう。

(1)音律の意味。十二律の奇数番目の六つの音律を律、偶数番目の六つの音律を呂といい(六律六呂)、その両者をあわせて「十二律呂」とよぶ。律呂はその略称で「楽律」ともいう。

(2)旋法または音階を2分類するための用語。この分類の仕方は便宜的なもので、時代によって内容の規定は異なる。現在では壱越調(いちこつちょう)、双調(そうぢょう)、太食調(たいしきちょう)の3調子が呂旋(りょせん)、また平調(ひょうぢょう)、黄鐘調(おうしきちょう)、盤渉調(ばんしきちょう)の3調子が律旋(りっせん)に分類されている。この場合、十二律の個々の音を2分類する律呂とは意味が異なり、たとえば壱越調は呂旋に属するが、壱越の音は律ということになる。

[千葉潤之介]

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普及版 字通 「律呂」の読み・字形・画数・意味

【律呂】りつりよ

合わせて十二管、その長短によって音階を定める。〔国語、周語下〕古の瞽(しんこ)、中聲を考へ、之れを量るに制を以てし、~之れを(なら)すに六を以てす。~律呂易(かは)らざれば、姦物無きなり。

字通「律」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「律呂」の意味・わかりやすい解説

律呂
りつりょ

中国,日本の音楽理論用語。音律のこと。中国では十二律を6律ずつの2グループに分けて律と呂とし,律呂と併記して音律の意味に用いた。音律に関する文献は,多く「律呂」の語が題名に含まれている。日本の音楽文献のなかにもこれを流用したものがある。しかし,日本の雅楽では,律,呂の意味が中国の場合と違って,音階の名称になっていることもあるし,両者を併記する場合も,中国とは逆に呂律ということが多い。

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世界大百科事典(旧版)内の律呂の言及

【律管】より

…中国で古来,音の高さを示すために考案された管で,または律呂(りつりよ)と呼んだ。起源に関しては,黄帝(こうてい)が伶倫に命じて竹で十二律を作らせたという伝説がある。…

※「律呂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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