和し(読み)ナゴシ

デジタル大辞泉 「和し」の意味・読み・例文・類語

なご・し【和し】

[形ク]
なごやかである。穏やかである。
「鶏の声など、さまざま―・うきこえたり」〈かげろふ・下〉
柔らかである。
高麗こまの紙の膚こまかに―・うなつかしきが」〈梅枝

にこ・し【和し/柔し】

[形ク]やわらかい。荒々しくない。穏やかである。
「毛の―・き物、毛の荒き物」〈祝詞広瀬大忌祭

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精選版 日本国語大辞典 「和し」の意味・読み・例文・類語

なご・し【和】

  1. 〘 形容詞ク活用 〙
  2. なごやかである。おだやかである。静かである。
    1. [初出の実例]「鶏の声など、さまざまなこうきこえたり」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)
    2. 「さもなごかりつる大海逆浪つよくして」(出典:咄本・軽口腹太鼓(1752)五)
  3. やわらかである。柔軟である。
    1. [初出の実例]「高麗(こま)の紙の、はだこまかに、なごうなつかしきが、色などは花やかならずなまめきたるに」(出典源氏物語(1001‐14頃)梅枝)

和しの補助注記

和文にのみ用いられているが平安中期以降は「なごやかなり」「やはらかなり」の方が多用され、「なごし」は稀になる。


にこ・し【和・柔】

  1. 〘 形容詞ク活用 〙 あらあらしくない。やわらかい。穏やかである。
    1. [初出の実例]「山に住む物は、毛の和(ニコ)き物・毛の荒き物」(出典:延喜式(927)祝詞(九条家本訓))

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