咄本(読み)ハナシボン

デジタル大辞泉 「咄本」の意味・読み・例文・類語

はなし‐ぼん【×咄本/×噺本/話本】

江戸時代に、当時の笑い話小咄などを集めて出版した本。「醒睡笑せいすいしょう」「鹿の子餅」など。小咄本。笑話本。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「咄本」の意味・わかりやすい解説

咄本
はなしぼん

笑話や小咄を集めた本。噺本とも書く。江戸時代全般を通じて盛んに出版された。初期の『昨日 (きのう) は今日の物語』『醒睡笑 (せいすいしょう) 』などは,大名や貴族の御伽 (おとぎ) 衆が関係し,話も武家僧侶を扱ったものが多かった。しかし,これらが庶民向けの笑話の流行を促し,天和 (1681~84) 頃から職業的な咄家として露の五郎兵衛,鹿野武左衛門らが現れ,軽口咄が流行した。咄本はこれら舌耕文芸としての咄と密接な関係をもち,のちには作者も題材も庶民階級のものとなった。天明年間 (1781~89) には烏亭焉馬 (うていえんば) を中心に「咄の会」が結成され,そこから多くの江戸好みの咄本が刊行されて咄本の全盛期を招き,その間滑稽本隆盛を導いた。五郎兵衛の『軽口露がはなし』,武左衛門の『鹿野武左衛門口伝咄』,『鹿の巻筆』 (1687) ,木室卯雲 (ぼううん) の『鹿の子餅』 (1772) ,焉馬の『無事志有意 (ぶじしゅうい) 』 (98) などに代表される。 (→江戸小咄 )  

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世界大百科事典(旧版)内の咄本の言及

【噺本】より

…江戸時代の庶民文芸の一種で,短い笑話を集めた本。咄本とも書き,軽口(かるくち)本ともいう。江戸時代を通じて1000余種も刊行され,数万にのぼる笑話が紹介された。…

※「咄本」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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