国事詔書(読み)こくじしょうしょ(その他表記)pragmatische sanktion

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国事詔書」の意味・わかりやすい解説

国事詔書
こくじしょうしょ
pragmatische sanktion

国本勅令とも呼ばれる。本来重要な国事 Pragmaに関し君主の発する勅令で基本法の効力を有するもの。フランスやスペインにもその例はみられるが,1713年4月 19日発布の神聖ローマ皇帝カルル6世が定めたハプスブルク家憲は最も有名である。彼はこれによってその領土の永久不分割と長子相続制を定めたが,長子レオポルトを失ってから男系長子相続の慣習を破って,第2順位として女系子孫への相続を規定し,長女マリア・テレジアの相続を確保しようと努力した。まず家領内諸地方の身分制議会の承認を得て 24年 12月6日これを公示し,さらにザクセン,バイエルン両選帝侯に慣習による相続権を放棄させ,26年プロシア,31年イギリス,オランダ,38年にはフランスの承認まで得たが,カルル6世の死後,マリア・テレジアがハプスブルク家領を相続すると,プロシアが異議を唱え,オーストリア継承戦争が勃発した。

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