…普請費用の膨張に伴い,この限度額の制度は1866年(慶応2)に廃されたが,明治政府の下では高100石あたり金1両2分の賦率とされている。
[朝鮮信使国役]
将軍の代替りに来日する朝鮮信使(朝鮮通信使)の逓送については,従来,沿道諸国の大名の人馬供出をもってなされていたが,1719年(享保4)の来日時より請負の通し人馬によってこれを賄い,その費用が21年に畿内より武蔵国までの東海道16ヵ国の農民から高100石あたり金3分余の国役金として徴収された。その後この国役は信使の来日ごとに課されたが,1808年(文化5)のときには日本全国に対して惣国役として高100石あたり金1両が賦課された。…
…
[享保期以降]
幕府は1720年(享保5)に国役普請令を発布して国役普請を恒常的制度として広域的に設定した。すなわち関東,東海,越後,美濃,畿内の河川普請について,一国一円を領有するものや20万石以上の大名はこれまでどおり自普請を行うこととし,それ以下の大名・旗本・寺社の所領および幕領内の普請は,幕府が総費用の10分の1を負担して遂行し,残額は国役金として幕領・私領の区別なく高割りをしてその農民より徴収するというものである。例えば関東地域では利根川,荒川,鬼怒川など7川が国役普請対象河川となり,ある年度に幕府普請方役人団の手で幕府の立替支出(〈取替金〉と称する)をもって普請した後,その年度中の普請総額の1割を幕府の純支出とし,残余の9割をこの地方の武蔵,下総,常陸,上野,安房,上総の6ヵ国288万石余に高割りし,農民より国役金として幕府立替支出分を回収するという形をとるのである。…
※「国役金」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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