国料船(読み)こくりょうせん

改訂新版 世界大百科事典 「国料船」の意味・わかりやすい解説

国料船 (こくりょうせん)

中世,ことに南北朝から室町時代にかけて,過書(所)と同様の関所通行にあたっての関銭免除の特権を有した船。国料は寺社などの修造費などにあてるために給付された知行国(造営料国)に代わる修造料国料の〈国料〉に由来すると考えられている。〈国料〉の史料上の初見は1404年(応永11)で,このころには過書と類似の性格を有する免除特権とされている。過書による船の特権が一般に1回限りのものであるとか,積荷品目・数量について関所で厳重な検査がなされるなど厳しい制約を受けていたのに対し,国料船に対しては比較的緩やかであった。ここに過書より強い権利内容を国料船が有していたことがわかる。国料船は現在知られているその多くが,住吉丸などの尾道国料船を支配下においていた備後守護山名氏や管領細川氏など,室町将軍家につながる人々の手中に収められており,国料の権利内容が過書より強いことは,室町幕府権力の後盾によってもたらされたと推測される。
過所(書)
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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