国指定史跡ガイド 「土師百井廃寺跡」の解説
はじももいはいじあと【土師百井廃寺跡】
鳥取県八頭(やず)郡八頭町土師百井にある寺院跡。古くから塔跡の礎石が完存し、心礎が地下式であることや出土瓦により7世紀後半の造営であることが知られ、1931年(昭和6)に土師百井廃寺塔跡として国の史跡に指定された。1978年(昭和53)から圃場整備事業が開始されたことを契機に発掘調査が行われた結果、塔基壇は1辺16mの方形であることが確認された。また、新たに金堂・講堂・回廊・中門などの中心伽藍(がらん)が確認され、白鳳(はくほう)時代創建の寺院跡であることが判明した。東に塔、西に金堂を配する法起寺(ほっきじ)式の伽藍配置である。軒丸瓦(のきまるがわら)は土師百井式といわれる単弁八葉蓮華文で、ほかに文字瓦なども出土している。とくに、塔跡は心礎のほか礎石16個が創建時の位置を保つなど、地方における白鳳時代の寺院様式をみるうえで重要とされる。1980年(昭和55)に追加指定され、旧名称から土師百井廃寺跡に変更された。JR因美線ほか郡家(こおげ)駅から車で約5分。