地切り(読み)じぎり

精選版 日本国語大辞典 「地切り」の意味・読み・例文・類語

じ‐ぎりヂ‥【地切・自ジ切】

  1. 〘 名詞 〙
  2. [ 一 ] 損得過不足のない状態、収支がつりあった状態にいう語。じぎれ。
    1. もともと持っている自分の金。もとで。また、元値
      1. [初出の実例]「哥にこりかたまって地(ヂ)ぎりを出さぬ様に立廻り」(出典:談義本・当世穴穿(1769‐71)一)
      2. 「いつもじぎりで仕迴(しまや)るから」(出典:洒落本・粋町甲閨(1779か))
    2. 欠損負債を補ってもとの状態にすること。うめあわせをすること。
      1. [初出の実例]「あの女を一ばんおどかして、ぢぎりにしべゑ」(出典:滑稽本・大山道中膝栗毛(1832)上)
    3. 必ずしも支払う必要のない費用などを自分が負担すること。自腹を切ること。〔俚言集覧(1797頃)〕
  3. [ 二 ] ( 地切 ) タバコの葉を、生産地で刻むこと。→地切りタバコ
    1. [初出の実例]「地ぎりがきれべい」(出典:滑稽本・大千世界楽屋探(1817)口絵)
    2. 「地切りの煙草じゃアあるめへし、あんまりこまごまきざみやアがるねへ」(出典:歌舞伎・月欠皿恋路宵闇(1865)五幕)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android