知恵蔵 「基本的人間ニーズ」の解説 基本的人間ニーズ 衣食住や医療 ・ 教育など、人間としての生活に最低限必要とされるもの。南南問題が広く認識され始めた1970年代半ば以降、世界銀行や国際労働機関(ILO)などによって、BHNの充足を目指す開発戦略が提唱された。だが発展途上国の政府は、非経済部門の優先的開発は全般的な援助削減策に繋がるとして、この開発戦略には批判的であった。このため、同戦略は80年代には一時後退したが、90年代に入ると、とりわけアフリカ諸国や南アジア諸国において絶対的貧困層がむしろ増大した。経済成長の恩恵が当該社会の下層民にまで浸透する(滴り落ちる)としたトリクル ・ ダウン理論が現実には否定されて、単にマクロ経済バランスの好転のみならず、絶対的貧困層に対する直接的な国際協力こそが重要である、という認識が高まっている。 (室井義雄 専修大学教授 / 2007年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報 Sponserd by