日本大百科全書(ニッポニカ) 「壁織物」の意味・わかりやすい解説
壁織物
かべおりもの
壁糸を緯(よこ)糸に使い、織面に縮緬(ちりめん)のような細かい「しぼ」を出した織物。壁糸とは、強い撚(よ)りをかけた太い糸(地糸)に、それとは別の細い糸(芯(しん)糸)とを引きそろえにし、始めの撚りとは反対の方向に上(うわ)撚りをかけると、細い糸に太い糸が螺旋(らせん)状に巻き付いて飾り糸ができる。この糸があたかも、日本家屋の真壁(しんかべ)の下地になる間渡(まわた)し竹に小舞(こまい)縄を使った形と同じような外観となるために壁糸といい、これを緯糸に織り込んだものを壁織物という。もとは絹糸を使ったが、人絹、レーヨンのものもあり、壁糸独特のごつごつした感じと細かい「しぼ」のため、縮緬とは違った風合いをもち、壁お召、壁縮緬、壁絽(ろ)などの生地につくられ、夏の着尺地や婦人子供服地に用いられる。
[角山幸洋]