多形腺腫(読み)たけいせんしゅ(その他表記)Pleomorphic adenoma

六訂版 家庭医学大全科 「多形腺腫」の解説

多形腺腫
たけいせんしゅ
Pleomorphic adenoma
(口・あごの病気)

どんな病気か

 多形腺腫は良性腫瘍で全唾液腺腫瘍の約60%を占める最も頻度の高いもので、耳下腺で最も多く発生します。また耳下腺に発生する良性腫瘍の75%が多形腺腫です。顎下腺および小唾液腺に発生する多形腺腫の発生率は共に耳下腺の20分の1で、舌下腺ではさらに少なくなります。

原因は何か

 唾液腺を構成する細胞が腫瘍化したものです。

症状の現れ方

 耳下腺に発生した多形腺腫では、無痛性の腫脹(しゅちょう)はれ)が現れます。腫瘤(しゅりゅう)(こぶ)は比較的硬く、形は凹凸不整です。周囲組織との境界ははっきりしています。顔面神経の麻痺を来すことは、ありません。

 多形腺腫の発育速度は極めてゆっくりで、数年から10年以上の経過をとるものが多くあります。しかし、ある時点から急速な発育を示すことがあり、この場合は既存の多形腺腫ががん化した可能性があるため、注意を要します。

 口腔内の小唾液腺由来の多形腺腫は、口蓋部すなわち口蓋腺の分布部位に多く発生します。口蓋の多形腺腫は片側性に硬軟口蓋境界部付近に現れます。

治療の方法

 治療法は腫瘍の外科的切除のみです。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館 「多形腺腫」の解説

たけいせんしゅこんごうしゅよう【多形腺腫(混合腫瘍) Pleomorphic Adenoma】

[どんな病気か]
 数か月から数年かけてゆっくり大きくなる、痛みのない良性の腫瘍で、上あごにできることが多いものです。
 表面はなめらかで、正常の粘膜(ねんまく)におおわれている半球状のかたまりですが、悪性腫瘍も同じ部位にできることがあるので、その区別をつけることがたいせつです。
 上あごには、唾液(だえき)(つば)を分泌(ぶんぴつ)する腺細胞(せんさいぼう)(小唾液腺(しょうだえきせん))があり、多形腺腫は、この細胞から発生するとされています。
 治療としては、おおっている粘膜と周囲の組織を含めて、病変部を摘出します。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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