朝日日本歴史人物事典 「大伴大嬢」の解説
大伴大嬢
奈良時代の貴族の女性。大伴宿奈麻呂と異母妹大伴坂上郎女の娘。父宿奈麻呂と田村里に住んだ異母姉(田村大嬢)と区別するため,母と暮らした坂上里にちなんで坂上大嬢とも呼ばれる。「大嬢」は「おおおとめ」とも。従父兄弟に当たる大伴家持と結婚。しかし,家持が内舎人として久爾京にいた天平13(741)年ごろ,彼女は奈良の宅にとどまっており,また同18年秋,家持が越中守として越中に赴任したときも当初は単身であった。赴任先で病にかかった家持の,妻を恋う歌が残っている。その後彼女も越中に移り,天平勝宝2(750)年ごろにはともに暮らしていたことが,京の親族へ贈った歌からわかる。大嬢のその後や子供についてはわからない。
(西野悠紀子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報