大谷寺岩陰遺跡(読み)おおやじいわかげいせき

改訂新版 世界大百科事典 「大谷寺岩陰遺跡」の意味・わかりやすい解説

大谷寺岩陰遺跡 (おおやじいわかげいせき)

栃木県宇都宮市大谷町の天開山大谷寺境内にある岩陰遺跡。姿川左岸の凝灰岩の崖面に形成された間口30m,奥行き13m,高さ12mの岩陰で,岩壁に彫られた石仏群は〈大谷磨崖仏〉として著名である。縄文時代からの複合遺跡であることは古くから知られており,1965年,磨崖仏の防災工事に伴って辰巳四郎らが発掘調査した。出土した遺物は,縄文時代草創期から晩期,弥生時代中期,歴史時代の各期にわたるが,主体を占めるのは草創期から早期前半にかけての遺物である。とくに草創期の土器群には,隆線文・爪形文・竹管文(円孔文)が施文される大谷寺Ⅰ式,縄文がまばらに施文される大谷寺Ⅱ式,縄文が内外面に施文される大谷寺Ⅲ式の3群があって,早期包含層の下部の第3層~第5層から層位的に出土している。他の出土遺物では,早期茅山期の屈葬人骨や前期関山期の一括整理遺棄された5体の人骨などが注目されよう。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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